2018-01-01から1年間の記事一覧

ラムネの顔

暮れのキャットストリートは誰もいない。 渋谷駅の始発は、待ち人がたくさんいる。 きょうはとりわけ、息が白い。 総武線の始発まで、あと12分。 10歳の時、遺書の内容を考えることでしか、抜け道を見出せなかった女の子は、今こうして、逃走癖を発揮するこ…

星の降った夜

おばあちゃんが息を引き取った。 ふたご座流星群がやってきた夜だった。 マザリーノは「息を引き取る」とその表現を噛みしめるように小さくもう一度呟いていた。 わたしはまた死に目に立ち会うことができなかった。ビバの時に続いて。まただ、と瞬間肩を落と…

銀の指環

またあいつに振り回された。逃 走 癖。 幸せを溜め込む容器が小さいのかな。なんだか人を好きになるのが怖い。愛されてると感じることが怖い。いつか壊れてしまうのが怖い。 贅沢病なんだろう。でも、自分には大きすぎるんだ。こんなに好きな人たちに囲まれ…

魔女修行

あー、ハッピーだ。 ハッピーが余って道玄坂からル・シネマ、ユーロスペース、アップリンクを通ってイメージフォーラム、からの結局戻ってシネマヴェーラ帰還。という徒労すぎる渋谷循環をしてしまった。 チャーミングで魔女のようなI氏と、大好きなT氏。ふ…

文化の日

今日は何が何でも予定を入れぬよう気を遣ってきた日。 神保町で古本まつりが開かれる季節だ。マザリーノサンドロヴィッチの手伝いで昼からウロウロしてたのは、去年のことだったっけか? 神保町映画祭の手伝いをしていたのは一昨年のことだ。 今年は特に用は…

ハロウィンに風邪をひいてしまう人

今日は10月最後の日。 高校時代はこの日はもうお祭り騒ぎで、原宿のバイト先に仮装した友たちがやって来たり、予備校で慎ましく仮装をしてから渋谷に繰り出したり、街全体がお祭りムードだと思ってた。 大学に入ってからは芸祭といつも被っていたから、それ…

VERMEER

真珠の耳飾りの娘はいなかった。首飾りの娘はいた。上野の森美術館。マザリーノサンドロヴィッチと、17時からの回。 優しい、柔らかい絵だった。フェルメールの絵は8点だけだったけど、その前に40点ほど、同時代のオランダ画家たちの絵があった。 フェルメー…

Brighton

今年の3月下旬、イギリスのブライトンに留学中の友を訪ねた。高校以来のベストフレンド。 この街の魅力は海辺にある小さな遊園地が何より象徴している。人々はなんとなく坂道を下って行く。降りて行けば、街のシンボルである遊園地に辿り着く。海には人を惹…

サリンジャーも基次郎も、きっとよく歩く

この季節は決まって心がもやもやする。若さのエネルギーを間に受けて、自分の体なんてぺしゃと潰されてしまう。あちらこちらで事件が巻き起こっていて、自分はそれを垣間みようとしてしまうから、栄養過多でへとへとだ。 これが刺激、なんだろうか。 たしか…

旅行

ぼくらが旅に出る理由、という歌を作ったのは小沢健二。私もよく旅に出てしまうし、その度に考える。なぜ、旅に出たいと思うんだろう。 私の結論はいつも “さよならをするため” かな、というところに落ち着く。 旅には終わりがあるから、物理的な隔たりによ…

駅前宗教勧誘

一ヶ月ほど前のこと。駅を降りてすぐ、自分と歳の近い女性に声をかけられた。 宗教勧誘かな?何かの取材かな? 「今若い方に意識調査を行なっているのですが、お時間ありますか?」 時間はあるな ー「あ、大丈夫です」 その女の人はジーンズにジャケットを羽…

思い立った記念日

ブログというものに憧れていました。 念願がこんなにもあっさりと叶ってしまって、びっくり仰天です。 思えば中学生のころ、ウィンドウズの分厚い画面を通してJKやら芸人さんやらの日常を覗き見ていたなあ。暖かい記憶です。 今では平たいスマートフォーンで…