旅行

 

ぼくらが旅に出る理由、という歌を作ったのは小沢健二。私もよく旅に出てしまうし、その度に考える。なぜ、旅に出たいと思うんだろう。

 

私の結論はいつも “さよならをするため” かな、というところに落ち着く。

旅には終わりがあるから、物理的な隔たりによって幕を閉じることができるから、それに至るまでの時間を意識的に濃密にしようとしたり、反芻しては心に刻みつけたりするんだと思う。それは毎日日記をつけたりする行為と近い。けれど旅の場合は、より切実だ。

さよならをすることは、涙を流すのと同じくらい浄化作用があるように感じる。ひとつの出会いを築いて、綴じることで、心の中がすっきり洗われるような。

それは勝手なことでしょうか。さすらいながら次の場所に向かう人が放ったさよならと、同じ場所にぽかんと穴だけ残された人が受け取ったさよならは、感じる重さが違うのでしょうか。前者は罪人、後者は被害者?

 

自分は前者になりがちだ。ただ、

もう二度と会うことはないかも知れない、しかし生きている限りどこかで再会する可能性も孕んでいる人がいる。自分とは全く交わらない日々を、かつてひと時でも交わった誰かが、当事者として生きている。そう、思いを馳せることが、自分に何より心の平穏をもたらしてくれる。

 

私は湖が好きだ。海の水平線や川の一方通行の流れも好きだけれど、湖は反対側が見えるから好きなんだ。安心する。終わりがあると思えること、自分には結構大切だったりする。f:id:gogatsunoko:20181027122748j:image