文化の日

 

今日は何が何でも予定を入れぬよう気を遣ってきた日。

神保町で古本まつりが開かれる季節だ。マザリーノサンドロヴィッチの手伝いで昼からウロウロしてたのは、去年のことだったっけか?

神保町映画祭の手伝いをしていたのは一昨年のことだ。

今年は特に用は無かったが、提灯の灯りに照らさられながら路面に並ぶ古本が見たくなった。それに11/3はホームムービーの日という、70〜80年代に神保町周辺の家族が8ミリフィルムで撮った映像の上映が行われるらしいという情報を得た。これは行かなくては!と久々のお出掛け(映画館に行く以外の)を決意した。

 

せっかくなので、京橋の国立映画アーカイブ(フィルムセンターの方が響きは好きだ…)にも寄った。木村威夫という美術監督の生誕100年記念の展示を見た。なんだろう、鉛筆画の雰囲気に、T氏と近いものを感じた。けれど着彩されたデザイン画は線の動きが力強く、躍動感のあるものだった。

鈴木清順という監督とよくタッグを組んでいたらしい。元祖肉体の門も手掛けていた。と、ここで調べてびっくり情報。つい二、三日前ふらっとユーロスペースで夜に観てトラウマになった青山真治のエンバーマーという映画に出てた、あの老人医者役が鈴木清順という人らしい…。こういうところが繋がると少しぞくっとする。

伊藤佐智子さんが衣装を手がけたZIPANGの美術もしている模様。こりゃあ観ましょう。

 

そしてお目当てのホームムービーへ。歩いて40分ほどの道のり。東京駅、皇居を沿って、よく歩く道のりだった。開始には10分ほど間に合わなさそうだった。さくさく歩いて、書泉グランデの交差点が見えてきた。さくさく横断歩道を渡っていたら、向かいからイヤフォンつけて歩いて来る男の人に見覚えがあった。チョンダウンさん!私が初めてお金を出して絵を買った人だ。街で知り合いを見つけても大抵は声をかけないけれど、チョンさんに会えたのはなんだか嬉しくてあいさつした。相変わらず気持ちの良い受け応えをしてくれてハッピーになった。

そこからすぐがホームムービーの会場だった。古書会館。ここは神保町映画祭の時、訪れたことのある場所だった。控え室かな?

 

そこで観た映像は、どれも食い入るように見つめた。フィルムの色彩、親から子へのまなざし、よそゆきの服装で公園で遊ぶ子どもたち、お正月、靖国神社としまえん、麺類近代見本市、あかあかとした日光の紅葉、二ヶ月前の新生児、風呂場での現像風景。映写機の音、神保町ベテランたちの場所当ての声。家族の内で完結するための映像。100%身内ネタ。なのになぜか自分まで懐かしいような感覚を覚える。

この映像を寄贈した家族が解説をしに観にきていた。このあときっと打ち上げを兼ねて、美味しい食卓を囲むんだろうと思って羨ましくなった。

私も今日は板橋に帰る。父親が四川風鍋を用意してくれてるみたいだ。まっすぐは帰らない。少し寄り道して、いただきますの後に着くくらいを狙って、帰ることにしよう。