ラムネの顔
暮れのキャットストリートは誰もいない。
渋谷駅の始発は、待ち人がたくさんいる。
きょうはとりわけ、息が白い。
総武線の始発まで、あと12分。
10歳の時、遺書の内容を考えることでしか、抜け道を見出せなかった女の子は、今こうして、逃走癖を発揮することでしか、解放できてない。
今晩は楽しかった。あのこの作る鍋はとってもとってもおいしかった。だけどやっぱり、出てきてしまった。なんだか、ひとりで寒い午前3時原宿を歩いていたら、涙がびしゃびしゃ流れてきた。懐かしい風景と、いまの自分のふがいなさと、未来の不透明さが一緒になって、今年いちばんの大号泣に行き着いた。
けんかをやめて。原宿のお家を出る瞬間、この曲が聴きたくなった。ちゃんと聴いたことなんて、多分一度もなかった。中学時代、まい子が突然に後ろを振り返ってこの曲を勧めてきたんだ。
エンドレス再生。酔った朝方は、ひとつの曲を永遠に流し続ける傾向がある。
夏の始まりには、free flowerのyes、はたまた中島みゆきの悪女。この間は、シーナ&ロケッツのyou may dream。流し続けないと、現実が迫ってきてしまう。悪酔いできない成れの果て。せめてもの羽目外しなんだろうか。
キャットストリートの入り口のところのファミマで、抹茶ラテを注文した。ミルクを多めに入れて。あまくて温かくて、優しいがおなかに染み込んだ。
ラムネを食べるのは、病んでる系だと言われたよ。顔つきのラムネはラッキー印。そんなのみんな知ってるでしょう?
おうちに帰りたい。綺麗にしたんだから。はやく、はやく。