深夜のブランコ、真夏の熱帯魚

 

夏の夜が恋しい。

あの光るうちわをはやく携えたい。

白いワンピースに空気を孕ませて、軽やかに夜道を歩きたい。

暑さでどうにも寝付けない夜、ブランコの揺れに身を預けたい。

 

ちゃぶ台に上がった冷やし中華を愛でたい。

小さな氷を舐めたまま畳に寝転がりたい。

夕暮れの天気雨を体育座りで眺めたい。

夜の冒険に出かけて、銭湯で汗を流したい。

缶ビールを開けて、並んで歩きながら片手で飲みたい。

 

新宿  陽射しを避けて逃げ込んだ地下街で、熱帯魚に涼を感じたい。