シベリア

 

しみずやのおじいちゃんが、きのうフランスパンを焦がしたらしい。あれほどベテランで、毎日毎日パンを焼いていても、うっかりすることがあるんだね。その話を耳にしたわたしはなんだかすごくほっとした。

 

わたしの前に並んでいたマダムが、シベリヤちょうだい、って言ったら賺さずシベリ ア だよ、っておじいちゃんは笑いながら訂正した。目の前の人に対してぞんざいさがなくて、それでいてユーモラスで、憧れる姿勢だった。

 

初めて食べたたまごサンドは白身が細長く細かく切られていて、舌が楽しかった。パウダー状の胡椒が繊細ながらも香りとして感じられた。

 

ありがとうおじいちゃん。ごちそうさま。